紀州鉱山の真実を明らかにする会

トップ 報道
新聞報道
読売新聞(三重版) 2010年3月29日
「紀州鉱山強制連行真実への思い刻む 朝鮮人追悼碑の除幕集会」

 太平洋戦争中に、旧紀和町(現熊野市)の紀州鉱山(閉山)に強制連行され、死亡した朝鮮人を追悼する石碑の除幕集会が28日、鉱山跡地近くで行われ、地元や県内外から集まった約100人が冥福を祈った。在日朝鮮人や地元住民らで組織する「紀州鉱山の真実を明らかにする会」などが主催した。

 同会では強制連行で死亡した朝鮮人の実態を調べ、広く伝えていこうと13年前から、碑の建立に取り組んできた。同鉱山跡地の近くには、英国人捕虜16人を慰霊する「史跡英国人墓地」があるが、朝鮮人に対する碑はなかった。しかし、同市に求めてきた碑の敷地提供は果たせず、募金活動などの寄付で建てた。

 碑(横2・3メートル、縦1・15メートル)には、命を失われた理由と歴史的責任を追及していくとの思いが刻まれ、同鉱山で死亡したとする35人の名前を書いた自然石も置かれた。同会の調べでは、当時の同鉱山(1940〜45年)で1000人を超える朝鮮人が強制連行されたという。

 集会では遺族の言葉が紹介され、関係者が追悼の舞を披露した。また、参列者の代表が「日本人と共同で碑を建立した意味を考えなければならない」などとあいさつし、同会のキム・チョンミ事務局長(60)は「碑の建立は新たな出発の一歩。まだ分からないことを、明らかにしなければならない」と話した。

 【写真】碑の前に献花し、冥福を祈る参列者
紀州鉱山の真実を明らかにする会