紀州鉱山の真実を明らかにする会          裁判闘争



2012年4月18日、午後2時半から、三重県を被告とする控訴審が始まりました。

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三重県を被告とする第1回控訴審


  きょう(4月18日)午後2時半から、紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑の敷地に土地取得税を課税し強制徴収(差し押さえ)した三重県を被告(被控訴人)とする訴訟の控訴審が名古屋高裁民事第4部ではじまりました。4月10日の熊野市を被告(被控訴人)とする控訴審の8日後でした。
 きょうの裁判官は渡辺修明裁判長ら3人でしたが、かれらの「訴訟指揮」は、10日の長門栄吉裁判長らのやりかたと同様に、審理を尽くそうとしないで、形式的な手続きのみで裁判を終わらせようとするものでした。
 刑事訴訟法で「公判」とよばれているものは民事訴訟法では「口頭弁論」とよばれています。文字どおり、民事訴訟の法廷では、口頭での原告(控訴人)と被告(被控訴人)の応答が原則です。
 手続き的な文書のやり取りの確認だけで、傍聴人にはなにがなんだかまったく理解できない状態で裁判(口頭弁論)を進行させようとする渡辺修明裁判長にたいして、原告(控訴人)は、口頭で陳述することを裁判長に要求しました。
 渡辺修明裁判長は、口頭の原則と権利を侵犯することができず、「10分間だけ」という制限をつけましたが、原告はその制限を無視して「弁論」をおこないました。
 はじめに、原告のひとり、竹本昇さんが、土地取得税課税を拒否する手続きのさいに三重県県税事務所紀南県税課がおこなった虚偽説明について具体的に述べました。被告三重県は、この虚偽説明がなかったことにして課税を手続的に正当化しているので、この問題は、この訴訟の重要な論点です。原告は、虚偽説明をおこなった担当課員を証人申請し、虚偽陳述が許されない法廷で訊問することを要求しました。
 続いて、原告のひとり、キム チョンミさんが、紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑の敷地に課税することは、社会正義と人道に反することであり、日本の法律によっても許されることでないという訴訟の基本論点をのべ、韓国慶尚北道議会議員が、当事者として紀州鉱山で亡くなった同胞にかんする真実糾明と追悼碑敷地の課税撤回を要求するために公式に訪日したさい、今日の2週間前の4月4日に、三重県議会の山本教和三重県議会議長が、「今後(紀州鉱山について)関心を持っていきたい」と述べたことにふれ、三重県の紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑の敷地にたいする課税問題の本格的な自己批判と再検討ははじまったばかりであるので、この控訴審ではこんご審理を十分につくしていくことを要請しました。

 原告の「弁論」のあと、裁判官は、「合議します」と言って退廷し、2分後に戻ってきました。
 そして、とつぜん、渡辺修明裁判長は、「これで弁論を終結……」と言いはじめました。
 その瞬間、原告は、「裁判官を忌避する」と大声で言い、傍聴席からも、「とんでもない」、「まともに審理せよ」という怒号が沸きました。
 3人の裁判官はそそくさと立ち上がり、法廷から消え去ろうとしました。傍聴席からの「逃げるな」、「戻ってこい」、「恥を知れ」、「裁判官をやめろ」という要求の言葉がかれらを追いかけました。
 座っていただけの被告三重県の訴訟代理人・指定代理人ら(降旗道男弁護士ら)も、原告・傍聴人の視線をさけて法廷をでて行きました。

                                                 佐藤正人

                                                                                                                          




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